
我々が「ヘルシンキの良心」と呼んではばからないミュージックショップ、Digelius Musicへ行ってきました。相変わらずゆるめでマイペースな営業姿勢に、ほっと一息。ここはヘルシンキで最も心休まる場所のひとつです。で、例によって「最近何かいいのありますか?」的な会話の後に手渡されたのがコレ。1曲目「Cave」を2分ほど試聴したところで早くも親指立てて「買うぜ!」サインを送りました。
Manuel Dunkelはヴァンタ出身のテナー&ソプラノサックス奏者。コルトレーンをこよなく愛するストロングタイプのプレーヤーで"one of the strongest voices in the Finnish jazz scene"なんて言われてるようですね。といっても、ただひたすらゴリゴリと押してくるというわけではなく、そこは大人として引くべきところは引きつつ、ここぞと言う時には骨太なリッチトーンで吹きまくるという感じ。もう38歳ですから。
本作「Darn That Dream」は、彼が2005年に結成した新カルテットによる初アルバムで、かなり期待値は高かったようだが、おそらく多くの人が親指を立てる出来になったのではないだろうか。とりわけ印象に残るのは、Manuel Dunkelと3リズムのぴったりと息のあったアンサンブルの妙。とくにドラムスJussi Lehtonenとは、たがいのタイム感がよく似ているのだろう、最終曲「Contact」の中盤で聴かせるふたりの同時ソロ的アンサンブルでは、思わずキーボードを打つ手を止めて聞き入ってしまった。また、ともすればヒステリックになりがちなソプラノサックスを吹いても、決して神経を逆撫でるようなところはなく、ハートフルなトーンを響かせている。これが持ち味ですね。
小さめのクラブで、できれば彼のサックスから半径3m以内、生音が届くテーブルでライブを聴いてみたいと思う花冷えの宵でした。(jn)